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M&A事例集

創業社長が急逝…廃業の危機をM&Aで乗り越えた町工場

放置された後継者問題

次に紹介する事例の主人公は、福岡県内で食品加工を営んでいた会社です。社員は15名。規模こそ大きくはありませんが、40年以上にもわたって地域に工場を構え、地元の雇用に貢献してきました。

しかし近年は、業界も成熟期に入っており、業績は少しずつ下降していました。その要因として考えられたのは、社員の高齢化です。定期的な採用活動に取り組んでこなかったため、気がつけば、会社の将来を担うべき20代、30代の姿が見当たらなくなっていました。社員の平均年齢は60代を大きく超えるようになっていたのです。

それと同時に、会計などのシステム化も遅れ、管理業務にも劣化が目につくようになっていました。

なかでも特に深刻だったのが後継者問題です。事業承継を想定し、社長の息子さんを入社させていましたが、残念ながら、自他ともに「適任ではない」という判断にいたっていました。人柄はとてもまじめだったのですが、リーダーシップやバイタリティに欠け、生存競争をかけた会社経営の舵取りを任せるには、あまりにも「お人よし」すぎたのです。

かといって他の候補も見当たらず、結局、その後も後継者問題は放置されたまま…。そのうちに社長が突然、他界されたのです。88歳でした。それほどの高齢になるまで、会社の最前線でがんばってこられたのです。

主要取引先が取引の中断を通告

そんなリーダーを突然失った社員たちは狼狽しました。とりあえず、息子さんが後任の社長に就任することになりましたが、社員のモチベーションはガタ落ち。事前の予想通り、社内の管理や財務管理(資金計画 手形管理)も甘くなっていきました。

すると、半年が経過した頃から、主要取引先が動き始めました。なんと次々と取引の中断を通告してきたのです。経営者の資質に難ありと判断されたためです。経営は一気に窮地に陥りました。しかし、社長以下、社内の人間だけではどうしていいかもわからず、ただただ右往左往するだけ。そうした状況を見かねた顧問税理士が、当社に相談してきたのです。

赤字会社が持っていた強み

私はヒアリングと調査を終えると、かねてより接触のあった企業へM&Aの打診をしました。その企業は他のエリアで事業を展開していた同業です。規模はずっと大きく、社員は60名で、年商は15億円。強固な組織力と技術力を活かして、さらなるエリア拡大の機会を狙っているという情報を私は耳にしていました。ですからこのM&A話にもすぐに興味を示してくれたのです。

そんな優良企業が、赤字に転落していた同業者のどこに魅力を感じたのでしょうか。最も評価されたのは、自分たちが進出をめざしていたエリアにおいて、優良な取引先を何件も抱えていたことでした。過去の実績と、もともと持っているポテンシャルから判断し、経営再建は十分に可能だと判断されたのです。加えて、土地の資産を持っている点もプラス材料に働いたようです。

ポイントは客観的評価を受け入れられるか

そして交渉がスタート。とはいえ、売り手にとっては会社の存続も危ぶまれる危機的状況の真っただ中にありましたから、駆け引きをする余裕などありません。私は客観的な取引対価の判断を提示しましたが、これは事実上、資産の評価額でした。ポイントは、売り手がこの額を受け入れるかどうかでしたが、そのまま何もしなければ廃業に追い込まれるだけだということを、ご本人たちもよくわかっていらっしゃったようです。ほどなく両社は株式譲渡の合意にいたりました。

このM&Aは、その会社の取引先からも高く評価されました。中断を通告していた会社も取引を再開。ほかのすべての取引も、これまで通り継続されることになり、社員さんたちの雇用も守られました。

2代目社長となっていた創業者の息子さんは退社しました。譲渡金を資金に、新たな人生を歩んでいらっしゃいます。印象に残っていたのは、売買契約締結後に見せた表情です。
「これで、従業員たちを守ることができた」
と、心から安堵していらっしゃいました。

と同時に、会社経営のプレッシャーからも解放されたその表情には、どこか明るささえ漂っていたように感じます。きっとお父様も安心されたのではないでしょうか。

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